癌治療 ウイルス療法とは?

※ 産学官連携からの開発事業「光線力学光源」

選択肢が増える癌治療方法ウイルス療法の紹介

フタロシアニンを用いた


 癌腫瘍をターゲットに、その他の生体細胞等に及ぼす影響を押さえた治療方法で、従来の癌治療法と異なり、リスクを押さえた治療方法。


光免疫療法とは?

 癌腫瘍にまとわり付く抗体(タンパク質)と、その抗体とセットでつながる色素薬フタロシアニンの関係を利用し、波長700nm近傍帯域の光を照射する事で、色素フタロシアニンが化学変化を起こし、光エネルギーを吸収して発熱し、抗体、癌腫瘍と連鎖している関係から、他の生体に影響を及ぼす事無く癌腫瘍にダメージを与える治療法で、がんの増殖アクセルである上皮細胞増殖因子受容耐にくっく抗体とフタロシアニンを結合させた薬を作り抗がん効果を検証した。

(ネイチャー・メディシン誌で2011年11月6日より)

シャーレ実験

癌細胞が即座に死滅 

 まず、シャーレの中で人間のがん細胞「A431細胞」を殺せるかどうか調べた。A431細胞は実験用に培養したもので、その表面にはEGFRが出ている。作った薬をA431細胞の培養液に加え、近赤外光を当てると、ただちに細胞は死んだ。

体内実験

 次に、新しい薬の効果を動物実験でも検証している。まずA431細胞をネズミに移植。このネズミは人の細胞に拒絶反応を起こさない特別なネズミで、がんが体内で増えてくる。がんのできた状態で、薬を使い、近赤外光を当てたところ、がんを縮小させることができた。薬はがん細胞の内側よりも、がんの表面に効果を示していた。タンパク質をターゲットにしているところで効果が高まると見られた。

試薬に見合った光源波長で健康細胞を傷つけず癌だけを殺す。

 さらに、この薬はがん細胞にくっつかない限り、体に害を与えないと確認している。がん細胞にくっついて初めて、近赤外線を当てるとそのくっついたがん細胞を殺す。副作用軽減につながる重要なポイントと研究グループは説明している。臨床試験では頭頸部がんの10人ほどを対象として、近赤外線を当てずに安全性を確認する見通し。その後、20人前後で近赤外線を当てて治療効果を検証する予定という。がんの治療では従来ないアプローチも注目されそうだ。

生体透過近赤外精密LD光源 KLDS-650nM~810nM

関係記事(NCIプレスリリース2011年11月7日)

 囲の正常組織を損傷することなく、マウスの腫瘍細胞を選択的に破壊する光線療法が考案された。この癌治療法は理論上、乳癌、肺癌、前立腺癌や白血病のような血液癌などのヒト癌細胞に対しても効果がある、と米国国立衛生研究所 NIH)の一機関である国立癌研究所(NCI)の研究者は語っている。この研究は6日発行のNature Medicine誌電子版201111月号に発表された。

現在の光線力学療法は癌細胞に特異的ではないため、周囲の正常組織を損傷する。そこで、この研究において、研究チームはより正確に癌細胞を標的にし、正常細胞にはより危害を加えることのない光線療法の開発に取り組んだ。

 この新しい治療は光免疫療法(photoimmunotherapy, PIT)と呼ばれ、光線を使って、急速かつ選択的に癌細胞を死滅させる。PITの開発にあたり、研究チームは癌細胞の表面にある特異的タンパク質を認識するモノクローナル抗体(MAb)と、特定の波長(近赤外線)の光に曝露されると急激に細胞を破壊する分子である光線感作物質を結合させた。この研究の有望な点は、光線感作物質がMAbによって標的とする癌細胞に運ばれ、近赤外光に照射されることによって、光線感作物質とMAbの結合体がこれらの癌細胞を選択的に死滅させるということだ。

 多数の光線感作物質の評価を行い、研究チームは、近赤外光蛍光フタロシアニンには最も有用な化学的特性があることを発見した。

 研究チームはフタロシアニン3つの異なるMAbに化学的に結合させた。一部の乳癌で過剰発現る HER2、一部の肺癌、膵臓癌、大腸癌で過剰発現するEGFR、そして、前立腺癌で過剰発現するPSMAである。

 研究チームは、癌細胞がMAbフタロシアニンと結合して、近赤外光に曝露されると、標的となった細胞が急速に死滅する一方、MAbフタロシアニンと結合しない細胞には損傷が無かったことを発見した。

 MAbフタロシアニンを癌のマウスモデルで試験したとき、投与されたマウスで、1回のみの近赤外光の照射でも腫瘍が劇的に縮小した。赤色から紫までの範囲の波長を持つ可視光線同様、赤外線の波長には幅があり、その中で近赤外光は可視光線に近い波長だ。

 MAb-IR700を用いた光免疫療法は、健康な組織を損傷する従来型の光線感作物質とは異なり、正常細胞の損傷は認められなかった。また、従来の光線感作物質を活性化させるために必要な光は組織を約0.8cm(約1/3インチ)しか透過しないが、フタロシアニンを活性化させる近赤外光は数センチ(1cm0.39インチ)の深さまで組織を透過することができる。

 この研究から、診断に必要な抗体の投与量がこれまでの方法で必要とする量よりも有意に少なくなることもわかった。投与量が少ないにもかかわらず、MAb-フタロシアニンによる光の照射を受けた後、標的腫瘍は縮小し、最終的には消失した。このことは、癌患者への一般的な投与量よりも、はるかに少ない量のMAbで癌をコントロールできる可能性を示唆している、と研究チームは言う。MAb-フタロシアニンは少量の光を放出するため、治療のモニターとしても用いることができる。

 「さまざまなMAbIR700に結合させることが可能であることは、この技術が治療結果を追跡するための非侵襲的な指標として使用できる可能性があるということです。さらに検証する必要がありますが、光免疫療法は、手術、放射線療法および化学療法の一部に取って代わる可能性があると信じています」とNCI癌研究センタ分子イメージングプログラム主任研究員である小林久隆医師(医学博士)は述べた。

従来のがん診断技法と、今回開発に成功した蛍光を活用した高選択的がんイメージング手法

 

図1a 図1b
微小がんイメージングは困難 高選択的微小がんイメージングが可能

a.PET、MRIなどの従来法で用いるプローブは、プローブの置かれている環境に関係なく常にシグナルを発する("Always ON")ため、プローブ自身のがん選択性が高くても、正常部位に分布してしまった大量のプローブに由来する大きなバックグラウンドシグナルが存在してしまい、微小がんの検出を妨げてしまう。

b.本研究チームが今回確立した蛍光プローブの精密設計による微小がんイメージング手法。がん細胞に取り込まれることで初めて蛍光を発する("Activatable")プローブを開発することで、極めて高選択的かつ高感度がんイメージングが可能となった。

がん細胞表面抗原に対する特異的抗体を活用した高選択的in vivoがんイメージングの実現

 

図2

原理:抗体が細胞表面受容体に結合するとエンドサイトーシス経路により取り込まれ、リソソームへと運搬されることを活用し、リソソーム内に取り込まれて初めて蛍光を発する蛍光プローブと、抗体の組み合わせによる高選択的がんイメージングの実現を図った。 

論理的設計法に基づく、弱酸性環境検出蛍光プローブ群の開発

 

図3

リソソームの特徴的な環境として弱酸性pHがあげられるため、弱酸性環境で初めて蛍光を発する新規蛍光プローブ群を開発した。これらのプローブをがん特異的抗体にアミド結合により結合させ、目的とするプローブを作成した。

弱酸性環境検出蛍光プローブとがん特異的抗体の組み合わせを活用した、                        高選択的in vivoがんイメージング

培養細胞への適用

特異的表面抗原発現培養細胞にプローブを適用した結果、弱酸性環境検出蛍光プローブを結合した抗体を添加した系では、細胞内に取り込まれた抗体のみが光ることが確かめられた。

がんモデルマウスへの適用

図4上:肺がんモデルマウスへと静脈注射によりプローブを導入したところ、常に蛍光を発する蛍光団を結合したプローブではバックグラウンド蛍光が強く、がん部位のみを検出することが難しかったのに対して、弱酸性環境検出蛍光プローブを結合した抗体では、がん部位のみを特異的に蛍光可視化することが可能であった。

 

下:肺と心臓を取り出してイメージングすると、弱酸性環境検出蛍光プローブを結合した抗体(右側)ではがん細胞のみを極めて特異的に検出できることが明確に検証された。

 

光免疫LD光源      

JIS T 0601-1-1, UL規格, CSA規格に準拠したLD光源設計

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